The previous night of the world revolution4~I.D.~

ルシファーがかつて持っていた、帝国騎士団四番隊隊長という肩書き。

あれは、伊達ではない。

少々の小細工程度じゃ、難なく切り伏せてくるはずだ。

それだけの実力はある。今も。昔も。

「ふむ…。ルレイア先輩はやはりルレイア先輩、ということか。死神モードじゃないなら大丈夫だと思っていたが」

「そりゃ、死神モードのときよりは全然マシだと思うけど…」

あのときは、本当に手のつけようがないからな。

暴走が収まるまで、離れたところからじっと見つめているしかない。

ルシファーは死神モードにはならないのだから、その点では与し易いと言えるが。

だからって、舐めてかかって勝てる相手ではない。

ましてや、そこにルシードまで加勢してきたら…。

…正直、勝てる自信がない。

そもそも俺は、ルレイアに銃を向けられないのだ。

「…」

情けないことだが、俺はルレイアを傷つけられない。

戦えない兵士なんて、戦場では邪魔者でしかない。それは分かっている。

でも、どうしても俺は…。

「…ルルシー先輩。ルルシー先輩にルレイア先輩を傷つけられるなんて、ハナから思っちゃいない。だから、鉛弾を撃てとは言わないが…。麻酔弾くらいなら、撃てるか?」

…麻酔弾…。

「…その麻酔弾、強い薬なのか」

「そこそこだな。ルレイア先輩の身体には薬物耐性がついてるから、少々の薬じゃ効かない」

…そりゃ、そうだよな。

じゃあ…やっぱり、そこそこ強い麻酔弾を撃たなきゃいけないのか。

「何なら銃の代わりに、釘打ち機で釘を打ってみるか?」

「無理」

無理に決まってる。麻酔弾で躊躇ってるくらいなのに。

「やっぱり無理か。なら、催涙スプレーと麻酔弾、音響弾も渡しておこう。いずれも殺傷能力は皆無だし、使ったところで傷の一つもつけない」

「…分かった。それなら…」

それでも躊躇うくらいなのだから、俺がいかに役に立たずであることか。

本当にマフィアなのかと、自分が情けなくなってくる。

「そうだ、スタンガンは?このスタンガンなら、電圧マックスでも死なせることはないぞ。精々…『すっごくビリッ』とするくらいで」

すっごくビリッ、のスタンガンか…。

「…無理そうだな。俺に使えるのは、『ちょっとピリッ』とするくらいの電圧だろうし…」

それじゃ何のダメージにもならない。隙を晒すだけだ。

スタンガンさえ使えないのか俺は。情けない。

「ふむ。それなら仕方ないな」

「…ごめん」

本当俺、役立たずで。

ルリシヤが色々頑張ってくれてるのに。

「気にすることはない。俺もルレイア先輩を傷つけたくない気持ちは充分分かってるし、傷つけたくないなら、殺傷能力のない武器を使えば良いだけだ。色々作ってみたから、ちょっと使ってみてくれ」

ルリシヤは、丸いスーパーボールみたいなものをいくつか、手渡してきた。

…なんか、また怪しい気配がする。