The previous night of the world revolution4~I.D.~

「ルレイア先輩は生きてる。でも、今はここにはいない。敵に囚われてしまっているんだ」

沈黙してしまった俺の代わりに、ルリシヤがそう答えた。

洗脳されてる、とは言わなかった。

「敵に…!?そんな、ルレイアさんが…」

「だから、俺達が助けに行くんだ。武器を持ってきてくれたのは渡りに船だったな」

俺の部下が持ってきてくれたのは、俺が使い慣れた銃と、弾薬一式だった。

これは、大変有り難い。

丁度武器に困っていたところだった。

「ルリシヤさんの武器や、その…ルレイアさんの武器も、他の構成員が持ってきてるんです。今、彼らにここの住所をメールしたので…明日中には集まれると思います」

「そうか。ありがとう」

彼らは俺達を探して、シェルドニア王国中を走り回っていたのだろう。

大変申し訳ない。

それなのに、俺の部下は意気込んでこう申し出た。

「ルルシーさん、ルリシヤさん。ルレイアさんを助けに行くなら、俺…俺達も行きます。弾除けくらいにしかなりませんけど、でも、少しでも…」

「駄目だ。危険過ぎる」

俺は、すぐさまその申し出を却下した。

認める訳にはいかなかった。

「ですが…!少しでもルルシーさん達の役に…」

「気持ちは嬉しい。でも、お前達はルティス帝国に帰れ。アシミムに見つかる前に」

今こうしている間にも、こいつらがシェルドニアに入国したことを嗅ぎ付けられているかもしれない。

戦闘になれば、犠牲は避けられない。

巻き込みたくはなかった。

更に、ルリシヤも。

「そうだな。その方が良い。それにこの国は、いるだけで洗脳が進行する。長居は危険だ。俺達は帰れないから仕方ないが、通常の旅券で帰れるうちは、帰った方が良い」

「…!でも」

「でもじゃない。良いから、帰るんだ。そして…俺達の無事を、アイズ達に伝えてくれ」

「…ルルシーさん…」

「頼んだぞ」

「…」

彼は、渋々といった風に頷いた。

…良かった。

「ついでに、伝言も伝えてくれるか?」

と、ルリシヤ。

伝言?

「はい。何と伝えましょう?」

「『俺達は必ず三人揃って無事に帰るから、待っててくれ』ってな」

「…!」

ルリシヤ…お前。

大きく出過ぎじゃないのかと思ったが。

考えるまでもない。ルリシヤの言う通りだ。

「…そうだな。俺達は無事に帰る。ちゃんと、ルレイアも連れて」

洗脳されたからって。

人格が死んでしまったからって。

諦めてなるものか。決して。

ルリシヤが諦めてないのに、他でもないルレイアの相棒である俺が諦めるなんて、馬鹿げた話じゃないか。