The previous night of the world revolution4~I.D.~

「ルレイア!お前、また何か悪巧みしてるだろ!何企んでんだ!」

「悪巧みなんてしてませんよ!見てください俺のこの清らかな目を。澄んだ清水のようでしょう?」

濁りきった泥水にしか見えないんだけどな、俺には。

「あとルリシヤ!お前はまた何をしようとしてるんだ!俺の家に忍び込むな!」

「忍び込んではないぞ?いつもちゃんと、『お邪魔します』って言いながら入ってるし」

「家主の許可を得てから入れ!不法侵入だろうが!」

ってかいつの間に入ってきてんだよ!どうやって入ってきてんだよ!空き巣か!

「それからアリューシャ!お前は朝から何を狙撃しようとしてんだ!」

「え?ルル公」

潔いなお前!

「朝から狙撃なんて眠くてやだけどさ~。ルレ公がお菓子くれるって言うから」

「菓子に釣られるな!才能の無駄遣いもするな!」

「ちょっとルルシー、アリューシャを怒鳴らないで。アリューシャの脳みそが萎縮したらどうするの」

「え?あ、ご、ごめん」

これ以上アリューシャの脳みそが小さくなったら大変だよな。そりゃ悪かった。

いや、でも悪いのアリューシャだから。

「とにかくルレイア。何を企んでいるのか言え」

「え~?そうだな~。じゃあルルシーがちゅーをしてくれたら言おうかな」

よし、分かった。

俺はルレイアのほっぺたを摘まんで、思いっきりつねってやった。

「痛たたたたた!DV!DVですよ!」

「ルルシー先輩、夫婦の喧嘩は犬も食べないぞ」

「うるせぇ。誰が夫婦だ。早く言え」

言うまでつねってやるからな。

良いか。俺だってやるときはやるのだ。

「言いましゅ!言いましゅから~!つねるのやめひぇ」

「よし、言ってみろ」

「も~…。ルルシーったら乱暴なんだから」

半泣きのルレイアは、すりすりとほっぺたを擦りながら涙目で睨んできた。

「で?何を企んでるんだ」

「何も企んじゃいませんよ。俺はただ、ルルシーと新婚旅行に行くんです」

「…」

「ルルシーと新婚旅行。豪華客船『ホワイト・ドリーム号』で、二週間かけて諸国漫遊するんです」

「…」

「…えへっ★」

…うん。

「いででででで!痛い痛い!」

「ふざけんな。俺は了承した覚えはないぞ」

俺はルレイアのほっぺたを再度つねり直した。

もう本当こいつ、ふざけ過ぎだから。

「だ・れ・が、新婚旅行なんか行くか」

「じゃあ結婚式しましょうよ!」

「断る!お前と結婚するつもりはない!」

「酷い!婚約破棄ですよ!」

婚約した覚えもねぇ!

すると、ルリシヤが。

「ルルシー先輩、いきなりのことで照れ臭いのは分かるが、DVは良くないぞ」

「照れ隠しじゃねぇよ!大体新婚旅行だってんなら、何でお前もついてくるんだよ!」

「え?だって俺仲人だし」

さらっと何を言ってんだお前は!

「もうチケットも用意してますから~。あとは行くだけですから」

「楽しみだなルレイア先輩。あ、心配しないでくれルルシー先輩、寝室はちゃんと、俺だけ別にしてあるから。二人の情熱的な夜を邪魔することはないぞ」

「余計な気遣いだ!」

このふざけきった奴らをどう怒鳴り付けてやるか、と。

考えていた、そのとき。

「ルルシーさん、失礼します」

「え、ルヴィア…?」

俺の部下のルヴィアが、何故か超にこにこしながら入ってきた。

何だろう。ますます嫌な予感。