アイズレンシア殿との電話から、一時間がたった後。
俺は急遽、セトナ様、ユーレイリー、ラシュナ、ヴィニアス、ミルミルを会議室に集め。
緊急会議を行っていた。
会議と言うか…既に決まってしまった、決定事項を彼らに伝えるだけなのだけど。
「…単刀直入に言う。俺はこれから…シェルドニア王国に視察に行くことになった」
「…」
ぽかーん、とする一同。
唯一、俺の隣でアイズレンシア殿との電話を聞いていたセトナ様だけは、諦めたような顔をしていた。
止めても止まりはしないと、分かってくれているのだろう。
申し訳ない。
「…一体、何事が起きて、そんなことになったのじゃ?」
ミルミルが尋ねた。
「アイズレンシア殿から連絡があったんだ。詳しく話すと…」
俺は先程アイズレンシア殿から聞かされた話を、仲間達に話して聞かせた。
さすがに、ミルミル達も唖然としていた。
「…そんな悪辣なことをして国を治めるのは、箱庭帝国だけかと思ってたよ」
ヴィニアスが、呆れたようにそう言った。
…俺も、その気持ちは分かる。
「それで、どうしてルアリスがシェルドニアに行かないといけないの?危険過ぎるわ」
と、ラシュナ。
…確かに、危険だとは思うが。
「でも、アイズレンシア殿に頼まれたんだ。この状況で、怪しまれずにシェルドニア王国に入り込めるのは…俺しかいない」
「…」
ルティス帝国から、視察団を出すことは出来ない。
口実がないからだ。
でも、俺にはある。
弱小国家で、ルレイア殿との関わりもそこまで知られていない俺なら。
「箱庭帝国は、丁度国政が落ち着いてきたところだ。国が新しい体制になったという報告と、挨拶を兼ねて…シェルドニアを訪問しにいこうと思う」
「…大丈夫なの?シェルドニアの洗脳システムが本物なら…ルアリスも…」
「アイズレンシア殿曰く、『白亜の塔』によって洗脳するには、かなりの期間が必要なそうだから…。数日滞在するだけなら、大した影響はないだろうって」
「それ本当?ミイラ取りがミイラになったんじゃ、笑えないよ?」
…ヴィニアスの言う通り。
シェルドニア王国が、俺に対しても何らかの強引な洗脳を使う可能性は、充分にある。
しかし、それでも俺は行くつもりだった。
「…これで少しでも、ルレイア殿に恩を返せるのなら…俺は行く」
「ルアリス…」
「あの人は、自分の危険を省みずに俺達を助けてくれたんだから…。今度は、俺が彼を助ける番だ」
箱庭帝国を捨てていくつもりはない。勿論、帰ってくるつもりでいる。
でも、俺にもしものことがあったときは。
「…後のことは頼みます。セトナ様…」
国を治めるパートナーでもあり、妻でもある彼女に、俺は後のことを託すつもりだった。
我ながら、無責任な夫であることは自覚している。
けれど、彼女は。
「…あなたは、止めても無駄だと分かっていますから…もう、止めはしません。あなたは、あなたの信念に従ってください」
「…ありがとう」
「…無事に、帰ってきてくださいね」
俺だって、彼女を残して死ぬつもりはない。
必ず、無事に帰ってくるつもりだ。
俺は急遽、セトナ様、ユーレイリー、ラシュナ、ヴィニアス、ミルミルを会議室に集め。
緊急会議を行っていた。
会議と言うか…既に決まってしまった、決定事項を彼らに伝えるだけなのだけど。
「…単刀直入に言う。俺はこれから…シェルドニア王国に視察に行くことになった」
「…」
ぽかーん、とする一同。
唯一、俺の隣でアイズレンシア殿との電話を聞いていたセトナ様だけは、諦めたような顔をしていた。
止めても止まりはしないと、分かってくれているのだろう。
申し訳ない。
「…一体、何事が起きて、そんなことになったのじゃ?」
ミルミルが尋ねた。
「アイズレンシア殿から連絡があったんだ。詳しく話すと…」
俺は先程アイズレンシア殿から聞かされた話を、仲間達に話して聞かせた。
さすがに、ミルミル達も唖然としていた。
「…そんな悪辣なことをして国を治めるのは、箱庭帝国だけかと思ってたよ」
ヴィニアスが、呆れたようにそう言った。
…俺も、その気持ちは分かる。
「それで、どうしてルアリスがシェルドニアに行かないといけないの?危険過ぎるわ」
と、ラシュナ。
…確かに、危険だとは思うが。
「でも、アイズレンシア殿に頼まれたんだ。この状況で、怪しまれずにシェルドニア王国に入り込めるのは…俺しかいない」
「…」
ルティス帝国から、視察団を出すことは出来ない。
口実がないからだ。
でも、俺にはある。
弱小国家で、ルレイア殿との関わりもそこまで知られていない俺なら。
「箱庭帝国は、丁度国政が落ち着いてきたところだ。国が新しい体制になったという報告と、挨拶を兼ねて…シェルドニアを訪問しにいこうと思う」
「…大丈夫なの?シェルドニアの洗脳システムが本物なら…ルアリスも…」
「アイズレンシア殿曰く、『白亜の塔』によって洗脳するには、かなりの期間が必要なそうだから…。数日滞在するだけなら、大した影響はないだろうって」
「それ本当?ミイラ取りがミイラになったんじゃ、笑えないよ?」
…ヴィニアスの言う通り。
シェルドニア王国が、俺に対しても何らかの強引な洗脳を使う可能性は、充分にある。
しかし、それでも俺は行くつもりだった。
「…これで少しでも、ルレイア殿に恩を返せるのなら…俺は行く」
「ルアリス…」
「あの人は、自分の危険を省みずに俺達を助けてくれたんだから…。今度は、俺が彼を助ける番だ」
箱庭帝国を捨てていくつもりはない。勿論、帰ってくるつもりでいる。
でも、俺にもしものことがあったときは。
「…後のことは頼みます。セトナ様…」
国を治めるパートナーでもあり、妻でもある彼女に、俺は後のことを託すつもりだった。
我ながら、無責任な夫であることは自覚している。
けれど、彼女は。
「…あなたは、止めても無駄だと分かっていますから…もう、止めはしません。あなたは、あなたの信念に従ってください」
「…ありがとう」
「…無事に、帰ってきてくださいね」
俺だって、彼女を残して死ぬつもりはない。
必ず、無事に帰ってくるつもりだ。


