「いえ…。その、それより…オルタンス殿。少し来てもらえませんか」

イラついている俺の代わりに、ルーシッドが本題を切り出した。

「はぁ…。ハムスターランドに行きたい…」

「あの…。オルタンス殿…話を聞いてください…」

もう、こいついなくて良いんじゃねぇかな。

いない者として扱おうぜ。いっそ。

「…何?」

「『青薔薇連合会』のアイズレンシア殿とアリューシャ殿が…訪ねてきてるんですが…」

「…!」

『青薔薇連合会』と聞いて、オルタンスの顔色が変わった。

がばっと起き上がり、俺達に向き直った。

「…それを先に言ってくれ」

「言おうとしたら、お前がハムハム言い出したんだよ」

俺達のせいにするな。馬鹿者めが。

「応接間で待ってもらっています。急ぎ…」

「あぁ、行く。今すぐ行くぞ。もしかしたら、ルレイアが見つかったのかもしれない」

うきうきと立ち上がるオルタンス。

どうやら、やる気が出たらしいな。

帝国騎士団長の癖に、マフィアでやる気を出すな。

あと、その頭のカチューシャを外せ。

そのまま来客と会うつもりか。

もう俺も止めないけど。好きにさせておけ。