考えてみれば、ルシファーだった俺は、いかに暗殺下手だったことか。

毒殺?わざわざ異国の毒を持ち出してまで?

何でそんな回りくどいことをする必要があるのか。

もっと手っ取り早くて、しかも俺の懐は全く痛まない簡単な方法があるのに。

俺は、気づきもしなかったのだ。

すると。

「…その毒が有益なのは分かったが、それをどうやってミレドに仕込む?」

アシミムの後ろに控えていたルシードが、俺に向かって尋ねた。

心なしか、責めているような口調にも聞こえた。

「確かに、仕込むのは難しいですね。毒自体は無味無臭の粉ですから、一度仕込んでしまえば、あとは簡単なんですが…」

…仕込むまでは、大変だよな。

使う毒が決まっても、それをどうやって盛るかは、解決していない。

「それは、これから考えなければならないでしょう」

「…半端だな。確実な方法とは言えないではないか」

「…済みません」

ルレイアだった頃の俺だったら。

「は?人のやり方に文句つけるなら、代替案を示してから言えよボケ」くらいは言ったのだろうが。

大人しいルシファーの俺は、何も言い返さず、目を伏せた。

すると、アシミムが。

「良いではありませんか。そんな便利な毒薬があることを知れただけでも、充分な進歩ですわ」

「…分かりました」

ルシードは、渋々といった風に頷いた。

毒をどうやって盛るかは、これから解決しなければならない課題だが。

まずは、毒を入手する方が優先だ。