「ルティス帝国由来の、良い毒薬があります。それを使うのはどうでしょう」
俺は、アシミムにそう提案した。
「毒薬…?でも、毒殺は難しいと、以前言っていたではありませんの」
「はい。ここシェルドニア王国で手に入る毒物では、どれを使っても、司法解剖で毒殺だとバレてしまうのですが…」
何故か、頭の中に思い浮かんだのだ。
そういえば、ルティス帝国由来の毒薬に、すこぶる便利なものがあると。
「ルティス帝国領のアエテルニタス山脈、そこに生息する、ルティスコブラという珍しい種類の毒蛇がいるんですが、そのヘビから作られた毒薬を使えば、毒殺されたことは分からないはずです」
「…そんな都合の良い毒があるんですの?」
「はい。確か…ミレド王は元々、高血圧の症状があるんでしたね?」
「そうですわね」
あんなに醜く太っていれば、当然と言えるな。
「なら、丁度良い。それを利用しましょう。その毒を使えば、丁度心筋梗塞と同じ症状が起きるんです」
「…!」
「しかも、本人が死亡して10分もたてば、毒の成分は検出出来なくなります。持病が祟って病死した、ということになるでしょう」
「それは…確かに、良い方法ですわね。おあつらえ向きですわ」
俺もそう思う。
ルシファーだったはずの俺が、どうしてこの毒のことを思い出したのか。
それは恐らく、潜在的に…ルレイアの知識を覚えていたからなのだろう。
ルティス帝国の裏社会では、この毒は非常に便利な「万能薬」のような扱いを受けており。
俺達『青薔薇連合会』でも、時折お世話になっていた代物だ。
ただ、段々手口がバレてきて、ルティス帝国ではやや需要が少なくなってきている。
しかし。
「ルティス帝国由来の毒ですから、シェルドニア人には馴染みも薄いはずです。バレる可能性は低いかと」
「そうですわね…。試してみる価値はありそうですわ」
アシミムは、嬉しそうに両手を合わせた。
俺はそれを見て、ホッとした。
彼女が喜んでくれたのが、俺も嬉しかったのだ。
全く忌々しい話だ。
俺は、アシミムにそう提案した。
「毒薬…?でも、毒殺は難しいと、以前言っていたではありませんの」
「はい。ここシェルドニア王国で手に入る毒物では、どれを使っても、司法解剖で毒殺だとバレてしまうのですが…」
何故か、頭の中に思い浮かんだのだ。
そういえば、ルティス帝国由来の毒薬に、すこぶる便利なものがあると。
「ルティス帝国領のアエテルニタス山脈、そこに生息する、ルティスコブラという珍しい種類の毒蛇がいるんですが、そのヘビから作られた毒薬を使えば、毒殺されたことは分からないはずです」
「…そんな都合の良い毒があるんですの?」
「はい。確か…ミレド王は元々、高血圧の症状があるんでしたね?」
「そうですわね」
あんなに醜く太っていれば、当然と言えるな。
「なら、丁度良い。それを利用しましょう。その毒を使えば、丁度心筋梗塞と同じ症状が起きるんです」
「…!」
「しかも、本人が死亡して10分もたてば、毒の成分は検出出来なくなります。持病が祟って病死した、ということになるでしょう」
「それは…確かに、良い方法ですわね。おあつらえ向きですわ」
俺もそう思う。
ルシファーだったはずの俺が、どうしてこの毒のことを思い出したのか。
それは恐らく、潜在的に…ルレイアの知識を覚えていたからなのだろう。
ルティス帝国の裏社会では、この毒は非常に便利な「万能薬」のような扱いを受けており。
俺達『青薔薇連合会』でも、時折お世話になっていた代物だ。
ただ、段々手口がバレてきて、ルティス帝国ではやや需要が少なくなってきている。
しかし。
「ルティス帝国由来の毒ですから、シェルドニア人には馴染みも薄いはずです。バレる可能性は低いかと」
「そうですわね…。試してみる価値はありそうですわ」
アシミムは、嬉しそうに両手を合わせた。
俺はそれを見て、ホッとした。
彼女が喜んでくれたのが、俺も嬉しかったのだ。
全く忌々しい話だ。


