The previous night of the world revolution4~I.D.~

死んでいた、と言うか…身体は生きていたのだけど。

中身は、ルレイア・ティシェリーとしての人格は、完全に死んでいた。

後になって思えば、大好きなルルシーに剣を向けたり、ルルシーを敵呼ばわりしたりと、考えるだけで蕁麻疹を起こしそうなのだが。

あの頃の俺は、ルレイアではなかった。

ルシファーだった。

しかも、ルルシーを知らない頃のルシファーだった。

ルルシーとの運命的な出会いを綺麗さっぱり忘れ、あの糞忌々しい、頭の中身までゆるふわ系、良い年して金髪縦ロールですわお嬢様(笑)のアシミムを、自分の主君だと思い込んでいた。

俺を地獄から救い出してくれたのは、アシミムだと。

あの人が俺の救世主で、俺はあの人に命を助けられたのだから、あの人を助けなければならないのだと。

おかしな話だ。私はお前を助けてあげたんだから、お前も私を助けろ、と命じる女に仕えるなど。

ルルシーは俺を助けてくれたけど、代わりに自分も助けろ、なんて一言も言わないぞ。

救いに対価を求めるなんておかしい。少し考えれば、簡単に分かるはずなのに。

あの頃の俺には、そんな考えはちっとも及ばなかった。

とにかく、自分を助けてくれたアシミムさんの為に、今度は俺が、彼女を助けなければならないのだと思っていた。

自分が洗脳されているという自覚は、一切…全くなかった。

ルルシーのことも、『青薔薇連合会』のことも、自分自身のことすら忘れ。

ただ、アシミムの願うまま、彼女の言う通りに、彼女を助けていた。