華弦が用意してくれた逃走ルートを使って、俺達は無事に逃げおおせた。
潜伏先を特定させない為に、わざと何度も電車やバスを乗り継いで。
丸一日以上かけて、俺達は王都の外れにある、潜伏先のアパートメントに帰り着いた。
何とか無事に帰ってきたものの、ちっとも安心することは出来なかった。
「ルルシー先輩…。大丈夫か?」
「…大丈夫じゃないよ」
とても、大丈夫ではいられない。
逃げているときは、逃げるのに必死で、何とか気を逸らすことも出来たけど。
今となっては…もう無理だ。
「…ルレイア」
ルレイアの、あの変わり果てた姿。
あれが目に焼きついて離れない。
生きていてくれたことには、安心した。
でも、身体だけだ。
中身は、完全に死んでいる。
光の方のルシファーだろうが。闇の方のルレイアだろうが。俺はどちらの彼でも良かった。
しかし、俺を知らない彼は。
俺を敵だと認識して、剣を向けてくる彼は…全く、考えたことすらなかった。
…想像するだけで、耐えられなかったからだ。
…俺を知らないルレイア。
俺を友人だと思っていないルレイア。
俺の…知らないルレイアだ。
とてもではないが、耐えられる気がしない。
「…ルレイア先輩のあれは、アシミムの洗脳の結果なんだろうか」
「…そうだろうな…」
「ということは、次会ったとき、またルレイア先輩はルルシー先輩に剣を向けるだろうな」
…あぁ。そうなるだろうな。
そのときのことを想像しただけで、胸が押し潰されたように苦しくなる。
いっそそうなる前に、自分で首を吊った方が良いんじゃないか?なんて馬鹿げたことを思い付くくらいに。
「…一応、聞いておこう。ルルシー先輩は、ルレイア先輩と殺し合う勇気はあるか?」
「ない。全くだ」
あいつを殺し合わなきゃならないなら、俺が死ぬ。
ルレイアをこの手で殺してまで、生き残る意味などない。
「…でも、ルレイア先輩もきっとそうだと思うぞ。自分の手でルルシー先輩を殺すくらいなら、ルルシー先輩の手で殺して欲しいだろう」
「そうかもしれないな。でも、俺には無理だ」
他ならぬルレイアに頼まれたとしても、無理だろう。
もし俺を殺して、死ぬほど苦悩して後悔したとしても。
でもルレイアには生きて欲しい。
生きていれば、立ち直ることも出来るだろうから。
俺は、ルレイアを殺せない。
どうやっても、それだけは無理だ。
「…成程、分かった。ならば、そのときは俺が、約束を果たそう」
「…約束?」
「ルレイア先輩がルルシー先輩を殺そうとしたときは…俺が、ルレイア先輩を殺す」
俺は、ルリシヤの胸ぐらを掴んで壁に押し付けた。
潜伏先を特定させない為に、わざと何度も電車やバスを乗り継いで。
丸一日以上かけて、俺達は王都の外れにある、潜伏先のアパートメントに帰り着いた。
何とか無事に帰ってきたものの、ちっとも安心することは出来なかった。
「ルルシー先輩…。大丈夫か?」
「…大丈夫じゃないよ」
とても、大丈夫ではいられない。
逃げているときは、逃げるのに必死で、何とか気を逸らすことも出来たけど。
今となっては…もう無理だ。
「…ルレイア」
ルレイアの、あの変わり果てた姿。
あれが目に焼きついて離れない。
生きていてくれたことには、安心した。
でも、身体だけだ。
中身は、完全に死んでいる。
光の方のルシファーだろうが。闇の方のルレイアだろうが。俺はどちらの彼でも良かった。
しかし、俺を知らない彼は。
俺を敵だと認識して、剣を向けてくる彼は…全く、考えたことすらなかった。
…想像するだけで、耐えられなかったからだ。
…俺を知らないルレイア。
俺を友人だと思っていないルレイア。
俺の…知らないルレイアだ。
とてもではないが、耐えられる気がしない。
「…ルレイア先輩のあれは、アシミムの洗脳の結果なんだろうか」
「…そうだろうな…」
「ということは、次会ったとき、またルレイア先輩はルルシー先輩に剣を向けるだろうな」
…あぁ。そうなるだろうな。
そのときのことを想像しただけで、胸が押し潰されたように苦しくなる。
いっそそうなる前に、自分で首を吊った方が良いんじゃないか?なんて馬鹿げたことを思い付くくらいに。
「…一応、聞いておこう。ルルシー先輩は、ルレイア先輩と殺し合う勇気はあるか?」
「ない。全くだ」
あいつを殺し合わなきゃならないなら、俺が死ぬ。
ルレイアをこの手で殺してまで、生き残る意味などない。
「…でも、ルレイア先輩もきっとそうだと思うぞ。自分の手でルルシー先輩を殺すくらいなら、ルルシー先輩の手で殺して欲しいだろう」
「そうかもしれないな。でも、俺には無理だ」
他ならぬルレイアに頼まれたとしても、無理だろう。
もし俺を殺して、死ぬほど苦悩して後悔したとしても。
でもルレイアには生きて欲しい。
生きていれば、立ち直ることも出来るだろうから。
俺は、ルレイアを殺せない。
どうやっても、それだけは無理だ。
「…成程、分かった。ならば、そのときは俺が、約束を果たそう」
「…約束?」
「ルレイア先輩がルルシー先輩を殺そうとしたときは…俺が、ルレイア先輩を殺す」
俺は、ルリシヤの胸ぐらを掴んで壁に押し付けた。


