The previous night of the world revolution4~I.D.~

「牢屋から出たとしても…途中で警備兵に会ったら終わりだな」

こちらにはまともな武器もなく、戦うには徒手空拳しかない。

向こうが一人なら何とかなるが、二人三人となると、さすがに不利…かと思われたが。

「手がない訳じゃない。ルルシー先輩、胸パッドはまだつけてるな?」

「は?え?…つ、つけてるけど」

ボディチェックするならこれも取ってくれたら良かったのに。

武器だけ根こそぎ取られて、あとはそのままだ。

まぁ胸パッド見られたら、それはそれで屈辱で死にそうになるけど。

「なら大丈夫だ。ちょっと失礼」

ルリシヤが、俺の胸にズボッ、と手を突っ込んできた。

「はぁっ!?お、お前何を」

「あぁ、あったあった」

ルリシヤは、俺の胸パッドの中から、ペットボトルのキャップみたいな大きさの何かを、五つほど取り出した。

「な、何だそれ?」

「閃光弾が二つ。音響弾が二つ。あとカミソリの刃だ。胸パッドの中に仕込んでおいた」

「!?」

…マジで?

そんなもの仕込まれてたの?この胸パッド。

「あと、メイド服のスカートの裏地にもいくつか、武器を仕込んであるぞ」

「お前…用意周到過ぎないか…?」

「小細工は俺の特技だからな。まぁ、でも…一つ一つの武器の威力は、どれも控えめだ。目眩ましにはなるが、決定打にはならない」

「それだけでも充分だよ」

ルリシヤのように、逃げ出すことではなく。

感傷に浸って、めそめそ泣くことしか考えてなかった俺と比べたら。

「ルルシー先輩、色々思うところはあるだろうし、泣きたいのも嘆きたいのも分かる。でも今は、まずここから逃げることだ。むざむざ殺される訳にはいかない」

「…あぁ」

「まずは逃げることだけ考えよう。後のことは、後で考えれば良い」

…ルリシヤの言う通りだ。

ルレイアを助けるにしても…俺達が生きていなければ始まらないのだから。

「…あっ、そうだ。ルルシー先輩の胸を触ってしまったことは、ルレイア先輩には内緒にしててくれ。いや、ルルシー先輩の胸の所有権が、ルレイア先輩にあることは分かってたんだが、如何せん非常時だから」

「アホなこと言ってないで、早く行くぞ」

俺の胸の所有権は、俺にあるに決まってるだろうが。馬鹿。