「どうする?この音声ファイル…。幹部に届けるか?それとも、伏せておくか?」

と、尋ねるヴァルタ。

「ルヴィアさん…」

俺が、いつになく険しい顔をしているからだろう。

フューニャは、不安げな顔をして俺を見つめていた。

俺は、フューニャを安心させる為に、彼女の頭にぽん、と手を置いた。

「大丈夫だ、フューニャ。心配するな」

「でも…。私、これ…どうしたら」

「お前が心配するようなことは、何もない。何があっても俺がお前を守るし、フューニャに危害は加えさせない。だから安心してくれ」

「…はい」

よしよし、とフューニャの頭を撫でる。

とにかく、彼女をこれ以上巻き込みたくはない。

余計な不安を抱かせるだけだ。

いきなり、彼女の手に余るものが届いて…大層不安だったことだろう。

その重荷は、俺が背負うべきだ。

「携帯、ちょっと預からせてくれな。代わりの携帯はすぐに用意するから」

「分かりました」

「よし。じゃあ、フューニャ。お前は家に帰れ。部下に送らせる」

「でも…」

そうだよな。気になるし、不安だよな。

一人で帰すには、危険だろう。

このメッセージに気づいた「敵」が、フューニャに危害を加えない保証はない。

「護衛に女性の部下をつけさせる。少しの間、我慢してくれ、フューニャ」

「…はい、分かりました」

渋々といった風に、フューニャは頷いた。

「…ルヴィアさんも、気を付けてくださいね」

「あぁ、分かってる」

「帰ってくるときは言ってくださいね。美味しいご飯作って待ってますから」

「あぁ。楽しみにしてるよ」

俺も、フューニャのご飯が恋しくなってきたところだ。

今度、いつ帰られるかは分からないが…楽しみにしておこう。