シュノさんは大丈夫なんだろうかと、心配しながらペットショップの駐車場に到着し。

俺達は、ペットショップに足を踏み入れた。

あー、獣くせぇ。

「さて…何を見ましょうか?」

犬か?猫か?鳥か?

うさぎも良いよな。美味いし。

「…」

シュノさんは答えず、何かを探すようにきょろきょろと辺りを見渡した。

…何を探しているのだろう。

そして、シュノさんは真っ直ぐに歩き出した。

俺は黙って彼女についていったが…。

シュノさんが目指す先は、やはり。

小動物コーナー、だった。

…まぁ、そうなるよなぁ。

ちっこいハムスターやらうさぎやらがゲージの中でこちらを見つめていたが、シュノさんはそれらには目もくれず。

彼女が立ち止まったのは、勿論…ハリネズミのゲージの前だった。

何匹かのハリネズミの子供が、ゲージの中でころころ動き回っていた。

…ふむ。

シュノさんは立ち止まって、じっとゲージの中を見つめていた。

彼女が今、何を考えているのか。

多分、俺と同じことを考えているのだろうな。

「…可愛くない」

案の定、シュノさんはぽつりとそう呟いた。

いやいや、そんなにガン見しておきながら可愛くないとは何事か、と店員さん辺りには言われてしまうかもしれないが。

可愛くないものは、可愛くないのだ。

「全然可愛くない。…ルーちゃんの方が、ずっと可愛い」

「…そうですね」

ハリネズミの顔に、違いなんてあるものか。どれも全部一緒だ。

そう思った奴は、俺が全員斬り殺してきてやろう。

違うんだよ。このハリネズミ共は…決して、ルーさんではない。

俺達が可愛がってきたハリネズミとは、全くの別物なのだ。

「私、ルーちゃんの代わりが欲しいと思ったの。ルーちゃんみたいに可愛い子が来たら、元気が出るかなって」

「はい」

「でも、駄目なの。ルーちゃんとは全然違う。ルーちゃんの代わりなんて、何処にもいないのね」

「…そうですね」

俺にだって、ルルシーの代わりはいない。

それと同じだ。

自分の愛する者に、「代わり」なんていないよ。

同じハリネズミでも…全く違う生き物に見えてしまう。

「…」

シュノさんはしばらく、そのハリネズミ達を見つめていたが。

やがて、興味をなくしたように、ふいっ、と背を向けた。