もしこのとき、ルレイアが「あんなこと」になっていると知っていれば。
俺は、こんなに悠長にはしていなかっただろう。
ルリシヤの反対を押しきってでも、ルレイアのもとに駆けつけただろう。
でもこのとき、俺はまだ知らなかった。
知らないが故に、呑気にルリシヤとシェルドニア語の勉強をしていた。
「習得が早いな、ルルシー先輩。正直、もっとかかると思ってた」
「…まだ、全然喋れてないけどな」
褒められても、あまり嬉しくない。
ルレイアやルリシヤの語学力と比べたら…こんなの、全然喋れるうちに入らない。
簡単な挨拶が出来るようになった程度、だ。
得られる知識があるなら、手当たり次第何でも覚えたいくらいの気持ちでいるのに。
それでも、俺のポンコツな脳みそは、教えられたことの全てを覚えてはくれなかった。
ルリシヤは、初めて勉強することはそんなもんだ、と言うけれど。
新しい単語を一つ覚えれば覚えるほどに、ルレイアに近づくかと思うと。
覚えの悪い自分が、もどかしくて堪らなかった。
「…言語というものは、一朝一夕で覚えられるものではないからな」
「…そんな呑気なことをしている間に、ルレイアが…」
「そう焦るな、ルルシー先輩。気持ちは分かるが」
焦るなと言われても、焦らずにはいられない。
俺が見ていない場所で、どんな目に遭わされているかと思うと…。
衝動的に、身体の方が動いてしまいそうだ。
一刻も早く、ルレイアを助けに行ってやりたい。
「そう心配するな、ルルシー先輩。王が処刑されたなんてニュースは、まだ聞いてない。少なくともアシミムが目的を達成するまでは、ルレイア先輩は丁重に扱われるだろうよ」
「でも…」
「そういう意味では、ルレイア先輩は今、俺達より安全な場所にいると思うぞ」
「…それはそうだが」
俺達は、いつ追っ手が迫ってきてもおかしくない訳だからな。
今のところ、ヘールシュミット邸からは離れたところに居を構えているのだが…。
何処に追っ手が潜んでいてもおかしくはない。いざというときの為に、すぐに逃げられるよう準備はしているものの。
正直…俺はこの異国の地に、なかなか順応しきれずにいた。
俺は、こんなに悠長にはしていなかっただろう。
ルリシヤの反対を押しきってでも、ルレイアのもとに駆けつけただろう。
でもこのとき、俺はまだ知らなかった。
知らないが故に、呑気にルリシヤとシェルドニア語の勉強をしていた。
「習得が早いな、ルルシー先輩。正直、もっとかかると思ってた」
「…まだ、全然喋れてないけどな」
褒められても、あまり嬉しくない。
ルレイアやルリシヤの語学力と比べたら…こんなの、全然喋れるうちに入らない。
簡単な挨拶が出来るようになった程度、だ。
得られる知識があるなら、手当たり次第何でも覚えたいくらいの気持ちでいるのに。
それでも、俺のポンコツな脳みそは、教えられたことの全てを覚えてはくれなかった。
ルリシヤは、初めて勉強することはそんなもんだ、と言うけれど。
新しい単語を一つ覚えれば覚えるほどに、ルレイアに近づくかと思うと。
覚えの悪い自分が、もどかしくて堪らなかった。
「…言語というものは、一朝一夕で覚えられるものではないからな」
「…そんな呑気なことをしている間に、ルレイアが…」
「そう焦るな、ルルシー先輩。気持ちは分かるが」
焦るなと言われても、焦らずにはいられない。
俺が見ていない場所で、どんな目に遭わされているかと思うと…。
衝動的に、身体の方が動いてしまいそうだ。
一刻も早く、ルレイアを助けに行ってやりたい。
「そう心配するな、ルルシー先輩。王が処刑されたなんてニュースは、まだ聞いてない。少なくともアシミムが目的を達成するまでは、ルレイア先輩は丁重に扱われるだろうよ」
「でも…」
「そういう意味では、ルレイア先輩は今、俺達より安全な場所にいると思うぞ」
「…それはそうだが」
俺達は、いつ追っ手が迫ってきてもおかしくない訳だからな。
今のところ、ヘールシュミット邸からは離れたところに居を構えているのだが…。
何処に追っ手が潜んでいてもおかしくはない。いざというときの為に、すぐに逃げられるよう準備はしているものの。
正直…俺はこの異国の地に、なかなか順応しきれずにいた。


