The previous night of the world revolution4~I.D.~

超絶お怒りの看守様が、防弾ガラス越しに発砲しかねない勢いで苛立ってきた、そのとき。

ようやく、車が目的地に到着した。

「うわぁ…。趣味悪い家…」

車から降ろされて、俺は、思わずそう呟いてしまった。

広さだけはウィスタリアの屋敷にも勝るが。

しかし、この趣味の悪さよ。

壁は落書きしたくなるほどに真っ白だし…。

窓という窓が、何故か丸かった。

門から玄関まで、真っ白な砂利が敷き詰められている。

なんて趣味の悪さだ。

「シェルドニアの家って、何処もこんなに悪趣味なんですか?」

ルシードに尋ねると、彼は気を悪くした様子もなく、

「一般的なシェルドニア様式の家屋は、程度の差こそあれど、こんな感じだ」

「おえー…。これじゃルティス帝国の王宮の方が、まだ立派ですよ」

「おいルレイア、ヘイトスピーチだぞ」

ルルシーにたしなめられ、渋々黙ったけど。

でも、ルルシー。ルルシーもこの家、悪趣味だと思ってるでしょ?

住みたくないよ。こんな家。

「で?何処ですかあなたのご主人は。出迎えくらいすれば良いものを」

「すぐに案内する。ついてきてくれ」

「ふーん…。見てくださいルルシー、花壇に咲いてる花まで悪趣味ですよ。毒花ですかね?」

俺は、ちょっとした雑談をしようとしただけなのに。

「貴様、黙って歩け!」

さっき同じ車に乗っていた看守様が、俺の背中を乱暴に押した。

いったぁ、何すんだこいつ。

俺は囚人じゃないんだぞ。

しかも、生まれてこの方、善行しか積んでこなかったような誠実なルティス人だというのに。

シェルドニア人の乱暴なことよ。

それにしても、外装が悪趣味な家は、内装も大層悪趣味だった。

見馴れないから、余計にそう思う。

「うわぁルルシー。見てくださいあの花瓶。あんなのに花入れるくらいなら、メスフラスコに入れた方がまだ…」

「黙って歩けというのが聞こえんのか!」

あー看守がうるせぇ。

お前こそ黙って歩け。

家の中をしばし歩かされ、連れていかれたのは、この家で一番重厚な扉の前。

「ここだ」

「ふーん…」

ルシードのご主人様が、この先にいるって?

ならば、会ってやろうではないか。