The previous night of the world revolution4~I.D.~

港に着くなり、俺達は久々の大地の感触を楽しむ暇もなく、用意されていたらしい車に詰め込まれた。

まるで囚人護送車のように、窓には真っ黒な板が嵌め込まれ、外の景色は見えなかった。

しかも、運転席と、俺達の座る後部座席の間には、分厚い防弾ガラスで隔てられていた。

本当に囚人護送車じゃないか。

まぁ良い。それなら精々、扱いにくい厄介な囚人になってやろう。

「ねぇ、ルリシヤ。言葉分かります?」

俺は、昔習った少数民族の言語で、ルリシヤに話しかけた。

ルティス帝国では、こんな言語、よっぽどの物好きか、俺みたいに相当高度な教育を受けた者しか知らないだろう。

ルリシヤと言えど、さすがに知らないかもしれないと思ったが…。

「うん?珍しい言語だな…。一応分かるが」

さすがルリシヤ。

このルティス帝国古来の超少数民族の言語で話せば、車内にいるシェルドニア人共には、何を話しているか分かるまい。

だが、この言語だと、残念ながらルルシーは会話に加われない。

ルルシーには、ちょっと我慢してもらうしかない。

「あなた、今何か武器持ってます?」

「心許ないな。護身用に持ってきた銃とナイフは取り上げられたし…」

看守の前で、携行している武器について話し合うとは。

言葉が分からないからって、やりたい放題である。

「あとは、服の内側に常に仕込んでるカッターの刃と…。それから、俺が先日考案した『これであなたも脱獄上手!ルリシヤ特製・脱獄七つ道具』くらいだな」

「さっすがルリシヤ。素晴らしく良いもの持ってますね、あなた」

心強いにも程があるよ。

もしルルシーが会話に加われたら、「何を持ち歩いてるんだお前」と突っ込みを入れるところだったろうが。

残念だが、今日はお休みである。

ルルシーは一人だけ会話に加われず、不満げなご様子。

「これで脱獄には事欠かないが、しかし戦闘になると少々厳しいな」

「銃がないのは痛いですよね。俺も自分の武器取り上げられちゃいましたし…」

「お前達!勝手に喋るな!」

勝手にお喋りする俺達に堪りかねて、看守様がシェルドニア語で怒鳴った。

うるせぇな。

「ワタシ、シェルドニア語わかりましぇーん」

俺は、わざと辿々しいシェルドニア語でそう挑発しておいた。

こういう看守って奴らは、苛立たせておくに越したことはない。