「…貸し切り券?」

「あぁ。帝都にある、ハムスターランドの貸し切り券。一枚でハムスターランドにも、隣のハムスタースカイにも入れる、お得なチケットだ」

そんなことまで聞いてねぇ。

「しかも宿泊は、ハムスターリゾート提携ホテル、ホテルハムスターのスイートルームを予約してある。それからパーク内では、ハムスターランド公式キャラクター、ハムッキーとハムニーの二人と写真を撮れて…あっ、それとハムスタースカイの方では、公式キャラクターのハムッフィーとハムーメイのショーを…」

「やめろ、もう良い。何でそんなに詳しいんだお前」

「それは調べたからだ。ワンチャン俺も一緒に行けるかなぁと思って」

「それで三人まで有効かよ!」

お前も行く気だったのかよ。連れてってもらえると思ってたのかこいつ。

「実はガイドブックまで買ってたんだが…」

さっ、とオルタンスから懐から取り出したのは。

『これ一冊で丸分かり!ハムスターランド&スカイパーフェクトガイド』という本。

しかも、所々付箋までついている。

ガイドブック買うのは良いけどさ。

お前、何でそれを持ち歩いてんの?

「それと、カチューシャも買った」

オルタンスは、さっ、とリボンのついたハムスターの耳を模したカチューシャを取り出した。

だから、何でお前それを持ち歩いてるんだ。

「それに、ネットでおすすめのアトラクションとフードも調べて…」

「準備万端かよお前!」

黙ってるつもりだったけど、突っ込みを我慢出来なかった。

そこまで準備して、結局置いていかれてるんだから、世話ないな。

準備万端のオルタンスはともかく。

「とにかく…そういうことなら、マフィアの幹部殿。どうやらオルタンスは、ルレイアを嵌める気はさらさらないようだぞ」

それどころか、自分も一緒にハムスターランドで遊ぶ気満々だったらしい。

そもそも、オルタンスがプレゼントしたのは、ハムスターランドの貸し切り券だろう?

シェルドニア王国の豪華客船ってのは、何だ。

「ハムスターランドが、いつの間にシェルドニアの豪華客船になったんだ?」

「…」

オルタンスが送ったのは、テーマパークの貸し切り券。

それなのにルレイアは、シェルドニアの豪華客船に乗ってる。

何で、そんなことになってる?