The previous night of the world revolution4~I.D.~

一体、何故こんなことになってしまったのか。

突然の連絡で、とりあえず君の家に行くから、と言われ。

30分後には、クランチェスカ家に、アイズさん、アリューシャさん、シュノさんの三人が勢揃いしていた。

何故『青薔薇連合会』の幹部三人が、俺の家に訪ねてくるのか。

あまりに畏れ多くて、俺は恐縮してしまったのだが。

突然の来訪にも関わらず、嫁のフューニャはけろっとしていた。

多分、この三人がどういう立場の人間なのか、知らないのだ。

まさか天下の『青薔薇連合会』の幹部三人だとは思うまい。

「あ、あの…。アイズさん…。今日は一体…」

同じテーブルにつくことすらおこがましくて、俺だけ床に座った方が良いんじゃないかな、なんて思った。

「電話でも言ったように、君の奥さんに会いに来た」

あ、そう…そうだったっけ。

俺じゃなくて、フューニャに用があるんだ。

…え?何で?

「あの…失礼ですがアイズさん、嫁に何の用が…」

「ちょっと協力してもらいたいことがあってね」

「…」

…協力…。

「私に…?何です?」

こてん、と首を傾げるフューニャ。

アイズさんが、フューニャに何をさせたいのかは知らないが…。

俺はフューニャを制して、不敬を承知でアイズさんに食って掛かった。

「…申し訳ありませんが、アイズさん。嫁は堅気の人間です。俺は何でも、危険な仕事でもやりますが、でも嫁を危険に巻き込むことは…」

いくら上司と言えど、次期首領と言えど。

それだけは、見過ごせなかった。

すると。

「分かってるよ。危険なことに巻き込むつもりはない。君達にそんなことしたら、後で私がルルシーに怒られるからね」

…危険なことではない?

それなら…。

「一体…嫁に、何をさせたいんですか?」

「そんな食って掛からないで。フューニャさん…だったよね?」

「はい。何処で私の名前を?」

「君の戸籍、手配したのは私だからね」

「あら、そうだったんですか。その節はどうも、ありがとうございます」

ぺこり、と頭を下げるフューニャ。

「それで、私は何をすれば良いんですか?」

「つかぬことを聞くけど、君は…箱庭帝国の出身だよね?」

「えぇ」

フューニャはけろっとしていたが。

俺は、フューニャが何をやらされるのかとはらはらしていた。

危険なことではないと言っているが…。