雨で濡れている服からジワリと湯気が上がり始め、足元の小石がガタガタと揺れ始め弾け飛んだ。

降り続ける雨は、俺の周囲3メートル以内には落ちず、まるで見えないケースにでも入っているかの様に、円を描いて地面を叩く――



「ハァッ!!」

自分自身に気合いを入れると、ダムの上の水溜まりが全ての吹き飛んだ!!


「いくぞ…」

身体中に溜めた力を一気に解放する――


すると、ダムの両サイドにそびえる山から地響きと共に地鳴りがし始めた。

そしてその振動は徐々に激しさを増し、ダムに面した山肌が大きく崩れた!!


俺はその土砂崩れを操り、ダムの目の前に積み上げていた岩の堤防を包み込む様に流し込んだ――



その土砂が巻き上げる土煙と谷間に流れ込む轟音とで、目の前は見えなくなり、周囲の音は全て掻き消した。



「や、山を1つ崩したの?
信じられない…」


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