ゆっくりと目を開けると、目の前に豪邸が建っていた。
塀のは洋風の白い鉄の柵で高さが3メートルはありそうだ。しかも正面部分の長さだけでも100メートル近くはある。
その中心には自動の門がついていて、監視カメラまで装備され、門から建物までは50メートル程だ。
それに白い壁の家には、一体いくつ部屋があるのか、よく分からない。
今更ながらに、桐山が御嬢様だという事を思い知らされた。
「こっちよ」
「え……?」
「ここが私の自宅。それは他人のお宅よ」
桐山が入って行ったのは、その豪邸の道向かいにある一般の住宅だった。
どうなっているんだ?
フェデリーヌ女学園の生徒会長が、一般の家に?
60坪程の敷地に建つ、典型的な建て売り住宅だ。しかも、そんなに新しくもない。
「もう面倒だから、普通に話すね。私の家、本当は普通のサラリーマンなのよ」
「はあ?」
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