落ち着いてに聞くと、澄んだ歌声は悲しみに沈む心を優しく 包み込む。
自分の意思とは無関係に、涙が溢れてくる――
演奏が終わり、声を掛けられて我に返った。
「どうだった?」
「ん…ま、まあ良かったよ。わるかったないきなり」
(やあ、クリン。
その娘かい、君が見付けたのは?)
(ああ、そうだぜ。こいつはさ、物質を瞬間移動させる力があるんだぜ)
「へえ、そうなんだ……って、何だ!?」
よく見ると、ストリートミュージシャンの後ろに黒い球体が浮かんでいた!!
「こいつもか?」
そうだ。
俺は今、こんな訳が分からない事に付き合ってる時では無いんだ。
慌てて祖母の方を振り向くと、生徒会長と一緒に1人立っていた。
オババ?
俺は路上に寝かせた祖母の側に、急いで戻った。
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