何でこんな事に…
俺があの紫水晶を貰ったからなのか?
だから俺が助かって、祖母が死んだのか?
こんな事になるなら、あの時に紫水晶を受け取らなければ良かった。そうすれば、祖母は死なずに済んだかも知れない…
後悔の念と懺悔の思いが、まるで波の様に打ち寄せて俺を苦しめていた。
そんな時――
どこからともなく、ギターの音色と共に歌声が聞こえてきた。
俺にはこの歌声に、聞き覚えがあった。昨日の交差点事故の時にも事故現場で歌っていた、あのストリートミュージシャンだ。
昨日に続き、またこんな大惨事が起きている場所で歌うなんて、絶対に許せない!!
俺は祖母をゆっくりと地面に下ろすと、立ち上がって周囲を見渡した。
すると、道路を挟んだ真正面の歩道に、あの赤いキャップを被ったストリートミュージシャンが、ギターを弾きながら歌っている姿があった。
「あいつ!!」
.



