俺はもう、込み上げる思いを我慢する事など出来なくなった。


視界が薄れ始め、頬を一筋の涙が流れた。一度溢れるともう止める事など出来なくなり、止めどなく落ちた涙が祖母の手を濡らした。

その祖母の手を掴んだ手も、どうしようもなく小刻みに震えた。

怖くて怖くて、ただ子供の様に泣きじゃくった。



「大地や…」

そんな俺の頬に、祖母の冷たい手が触れた。


「大地の名前はね…お祖母ちゃんがつけたんだよ。

産まれたばかりの…大地の顔を見た時に、つけた…名前なんだよ…」
「祖母ちゃん、いいから喋らないで」


「大地には…
この広大で優しい大地の様に……

強くて…
包容力が…ある……
そんな人に―――…」


俺の頬に触れた手が静かに地面に落ち、掴んでいた右手からは力が抜けた。

抱き締めていた身体は急に重たくなり、さっきよりずっとずっと…


冷たくなった――



「祖母ちゃん?

ねえ祖母ちゃん?

目を覚ましてよ…

誰か、祖母ちゃんを助けてくれよ…


うわぁぁぁ―――――!!」


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