周囲は瓦礫の山と化し、至る所で悲痛な声を上げて倒れている人、ビルの壁に寄り掛かり苦悶の表情を浮かべる人で溢れていた。
この様子では、かなりの死者も出ているに違いない。
水道管の破裂により道路は寸断され、救急車どころか救助すら期待出来ない。
それでも、幸運な事に俺も祖母も無事だった。
そう思っていたのに――
「血……」
自分の両手を見ると、いつの間にか血で真っ赤に染まっていた!!
「ど、どうして…
俺はどこも怪我なんかしてないし、誰にも触ってもいな――
ま、まさか!!」
そう言えば、さっきから祖母が一言も口を開いていない。まさか、そんな馬鹿な…
慌てて祖母の身体を確認すると、背中が真っ赤に染まっていた!!
「ば、祖母ちゃん!!」
祖母は俺の腕を掴むと、青ざめた顔でいつも通りに微笑んだ。
「大地……」
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