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振り返ると、生徒会長が俺の頭痛を指差した。

俺は差された自分の頭上を、ゆっくりと見上げた。


「な、何だ?」

その現実離れした状況に、俺は目を疑った。

俺の頭上、ほんの1メートル程の空中に看板が浮かんでいたのだ!!


「生徒会長、これもお前がやったのか?」

「ち、違うわよ。私にそんな力は無くってよ」


では一体誰が…


とりあえず俺は祖母を抱き抱えたまま、看板の下から安全な場所まで移動した。

それに安心して気を抜いた瞬間、宙に浮いていた看板は歩道の上に激しく落下して粉々になった。


「なぜだか分からないが、お陰で助かったよ…」

(なぜだか分からないって、あれは大地の力だよ)

「はあ?」


ここ暫くついて来るだけだったグリンが、突然口を開いた。

(大地の力が、必要に迫られて目覚めたんだよ。まさか、これ程の力とは思わなかったけど…)

「俺の力?」


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