M ‐ёмц‐


その視線の先を見ると、ビルの3階部分に取り付けられた大型の看板が、今にも落ちそうになっていた。

その下には――


「祖母ちゃん!!」

「私の力では、どうする事もできなくってよ!!」

俺のいる場所から祖母の座っている場所までは、約30メートル…
間に合ってくれ!!


直ぐに走り出したが、その直後に金具が軋む音がして、壁から看板が外れた!!

駄目だ、とても間に合わない――

「祖母ちゃん!!」



その瞬間――

激しい頭痛と共に、身体の細胞という細胞が…いや、遺伝子が全ての記憶を呼び覚ます様な感じがした。

遠い遠い過去の記憶を…



例え間に合わなくても、途中で諦める訳にはいかない。

俺は祖母を、絶対に助けるんだ!!


「祖母ちゃん!!」

なんとか祖母の所まで辿り着き、庇う様に抱き締めたが看板が落ちてくる気配がない。


あ、あれ…
看板が落ちてこない。どうなったんだ?


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