M ‐ёмц‐


ギターの旋律と、微かに耳に届く歌声…


この凄惨な事故現場で、ストリートミュージシャンが演奏をしているのか?

死亡者もいるかも知れない場所で呑気に演奏なんて、流石に俺にも出来ない。


俺はどんな奴が演奏しているのか確認しようと、周囲をぐるりと見渡した。



いた――!!

交差点を挟んで対角線上の角に、ギターを持って座っている。

赤いギャップを深く被っている為に顔は見えないが、声からすれば女性だろうか?


周囲の人達は事故が気になりストリートミュージシャンの存在は気にしていない様子だが、元々どこでも座り込んで歌うあいつ等が嫌いな俺はかなり苛ついた。

「うるせえぞ、お前!!」

無意識の内に、俺はそのストリートミュージシャンに向かって怒鳴っていた。


演奏を止め顔を上げたストリートミュージシャンは、俺の方を見て手を振った。

「はあ?」

声援してる訳ではなく怒鳴っていると言うのに、全く何て奴だ。

もういい。
あんな奴に構わずに、早く駅に行こう。


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