その時――
巨大液晶パネルの横にあった、あの複雑なセキュリティシステムに防護されていた扉が開き、中から何者かが出てきた。
俺はその姿を見て、思わず言葉を失った。
電動式車椅子に乗った骨と皮だけに痩せ細った小さな男の子が、頭に何百本というコードを繋げた状態でそこにいたのだ。
それはまさに、人間が無理矢理作り出した生きたコンピューターだった。
「騙す形になってしまったけど、これで海のバランスも地上のバランスも取れました。
ありがとう」
「M…なのか?」
俺は動く事も出来ず、その子供に声を掛けた。いや、聞かなくても、声がスピーカーから流れていたそのものだ。
「僕は自分からそう名乗った事はないですが、そう呼ばれている様です」
Mは蒼白い顔の中で、唯一光を放つ大きな瞳で俺を見詰めて言った。
その姿を見ると、とても怒鳴ったり掴み掛かったりする気にはなれなかった。
Mも人間の被害者なのだ。
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