教室に入ると、いつもなら騒々しい室内に数人しか生徒の姿が見えない――


「何だこりゃ?」

思わずそう口から溢すと、教室の隅に集まっていたクラスメイトが俺の存在に気が付いた。


「おう真宮、やっぱりお前は来たんだな」

「はあ?」

やっぱり来た?
学校に登校して来る事が、まるで修行僧の荒行の様に聞こえる。


「言ってる意味が、全然分かんねえんだけど…」

「いや、同時多発テロがあっただろ?
今日もあるかも知れないって、親が危険だから学校に行くなと言ってるらしいぞ。

まあ、お前の家は何にも考えてないから、絶対来ると思ってたよ」


ぐ……
確かに、親が俺の心配をする事は、まず有り得ない。

それにしても、マスコミの報道を鵜呑みにして学校を休ませる親がいるとは…羨ましい。



結局、始業時間になっても余り生徒は増える事もなく、登校してきたのは42名中18名だった。


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