300メートル程進んだ辺りで、俺は振り返って穂波に確認した。

「本当に、この方角で合っているのか?
どこを見ても同じ景色だし、全然分からないぞ」

「大丈夫よ。磁石を確認しながら歩いているから、間違えたら言うわよ」

穂波は俺の心配をよそに、涼しい顔で平然と答えた。


「でも、磁石とか使えないんじゃないのか?」

「大地、超常現象特集の見過ぎ。方位磁石はちゃんと使えるのよ。

それより、急がないとあと2時間30分しかないわよ!!」

「分かった」



それから30分程、岩を登り倒木を乗り越えながら前進して行くと、洞窟の入口が見えてきた。


高さが3メートル、幅が5メートルはある巨大な洞窟だ。

これ程の洞窟が知られていないという事は、政府により情報規制がされていたに違いない。


「ここだろ?」

「……この地図を見る限りでは、こにみたいね。あとは、この洞窟の奥にある扉から、中に入ればいいだけよ」


俺達は互いに顔を見合せ、洞窟の中へと飛び込んだ。


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