青木ヶ原――

俗に言う樹海。富士山の北西に位置する、原生林が生い茂る深い森だ。

3000ヘクタールにも及ぶその地域は、富士山の噴火によって噴き出した溶岩が流れた跡が点在し、風穴や洞窟が数多く存在する。

また磁鉱石を含む岩が多く、磁石他、計器を狂わせるエリアがあると言われている。


だが、実際には政府がその俗説を利用し、情報管理システム等を隠す為に電磁波を放出していたらしい。

いずれにしても、特別な理由がない限りは、奥地まで足を踏み入れたくない場所だ。



俺達は青木ヶ原に到着すると、局長に渡された地図を見ながら施設のある場所を確認した。


「ここから奥に入るのか?」

「そうみたいね」

「迷子にならないか?」

「大丈夫よ。早く行きましょう!!」

穂波は不安そうな俺の背中を思い切り平手打ちすると、ドンと押した。


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