一体何で、こんな事になってしまったんだ?


玄関に行き靴を履いていると、背後から祖母の声がして振り返った。

「大地、これを持って行きな。テロだって話もあるし、今日も何かあってはいけないからね」


祖母が俺に差し出したのは、ビー玉サイズの紫色をした石だった。

「何これ?」

「紫水晶だよ。

お祖母ちゃんのお父さん…つまり、あんたのひいお祖父ちゃんが太平洋戦争の時に、御守りとして持っていた物。これを持っていたから、あの悲惨な戦争から生きて帰って来れたんだよ。

生前、お祖母ちゃんが貰った物だけど、あんたにあげるから持ってな」


こんな石でどうにかなるとは思えないが、何よりも祖母の気持ちが嬉しい。

「祖母ちゃん、ありがとうな」

俺はそう言って祖母の肩を抱くと、手を振って家を出た。



(大地、全ては必然なんだ。全ての事に意味があるんだ。)

「何だよそれ?」


.