M ‐ёмц‐


いや…
やっぱり、これは夢だ。まだ寝惚けているに違いない。


その時、階下から母親の声が家中に響き渡った。

「大地!!
早く降りて来ないと、学校に遅刻するよ!!」

相変わらず、拡声器を使っている様な声だ。面倒だから直ぐに降りよう。


俺は中に浮かぶ物体が視界に入らない様に急いで着替えると、鞄を持って階段を降りた。

「大地、今日はバスで行かないといけないんだろ?
お父さんは、もう会社に行ったよ。あんたも早く出ないと、授業に間に合わないよ!!」

そうだった。
昨日の列車事故で、今日はバス通学だった。


「げ……」

その時、台所の出入口からグリンがスーッと中に滑り込んで来た。

あんな怪しげな物を見たら、いくら豪快な母親でも腰を抜かしてしまうぞ。


(大丈夫だよ。僕は普通の人には見えないから…)

「見えないって…お前、幽霊なのか?」

(幽霊?
僕はそんな物ではないよ。でも、まだ話せない)


.