その場にいた全ての人が、微動だにせず美空の話を聞いていた。
「警官隊の皆さん…
ここにいる人達は、暴徒ではありません。
関東地方にはもう食べ物も少なくなり、多くの子供やお年寄りが生きていく事すら出来ない状態にあります。
この人達はそんな弱い人々が生きていく為に、止むを得ずバリケードを破壊しようとしているのです。
確かに、多くの人が一度に流入すると治安が悪くなるかも知れません。だからといって、数千万人の人々を見殺しにするなんて事はしてはいけない行為です。
警官隊の皆さんは、流入した人達を統率し、治安を維持する事こそが本来の仕事だとは思いませんか?」
美空の話が終わると、金属が軋む音ともに、ゆっくりとバリケードの扉が開いた。
そして、警官隊を統率していた上官が前に出て深々と頭を下げた。
「まさに君の言う通りだ。ここのバリケードは撤去しよう」
その言葉に、周囲から津波の様に歓声が沸き上がった!!
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