周囲を見渡すと、俺達の右側にあるビルの谷間から10人程の集団が、ゾロゾロと出てきた。
手にサバイバルナイフや、鉄パイプを持った奴も見える。
これはヤバイ――
考えてみれば、女子高生2人に男子高校生1人。そういった類いの奴等にとっては、格好のターゲットだ。
その集団は俺達を遠巻きに取り囲むと、ニヤニヤと薄ら笑いを浮かべながら少しずつ輪を縮めてきた。
「誰が見ているか分からないから、余り力は使いたくないが…」
「そうね。だけど、この状況だと仕方ないわね」
「うん」
俺達は意識を集中し、いつでも力が使える様に身構えた。
更に輪が縮まり、相手も臨戦体勢に入った。そして、リーダーらしい男が口を開いた。
「お前、素直にその2人を置いていけ。それなら、腕の1本くらいで許してやっても良いぞ」
なめるなよ。
俺達は、普通の高校生とは違うんだ。
「待てお前達!!」
俺が力を使おうとした瞬間、周囲から大勢の声がした。
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