しかし――
改めて周囲を見渡すと、テレビで見た中東諸国の様子と変わらない。
道路は至る所で陥没やアスファルトの隆起により寸断され、路上や歩道に無人の車が放置されていた。
しかも、建物の1階のみならず3階までの硝子は大半が割れて散乱し、足元がキラキラと光っていた。
これはおそらく、水道管の破裂による被害と、人々が逃げた後に荒らされたからだろう。
それにしても…
これでは、治安状況もかなり悪化しているに違いない。それよりも、食料や水が手に入らない様に思う。
この荒廃した都市は、これからどうなるのだろうか…
「とりあえず、国会議事堂に向かって行こう。そうすれば、マルスのメンバーにも遭遇するんじゃないか?」
「組織のメンバーになるには直接本部に行くより、末端のメンバーに混ざる方が早いでしょうね」
「私が皆を連れて行くの?」
「歩くんだよ」
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