その日の午後、突然その時は訪れた。


険しい表情で、穂波がパソコンの画面を凝視しながら呟いた。

「何これ…」

その時ちょうど俺のパソコン画面にも、有り得ない状況が映し出されていた。


それは、武装した黒ずくめの集団が、警察の作ったバリケードを突破しようとして、警官隊と衝突している動画だった。


背景からすると、どうやら国会議事堂の様に思われる。

警官隊も武装してジュラルミンの盾を持って応戦しているが、黒ずくめの集団の数はその警官隊の数十倍はいるように見える。


これは一体何だ?


よく見ると、その黒ずくめ集団の背中には、何か赤い色で文字が書かれていた。

「あ……!!」

M!!
全員の背中に、Mという文字が書かれていたのだ。


「穂波!!」

「う、うん。今見ているところ」


俺達はその実況中継とも言えるその動画の成り行きを、ジッと見詰めた。


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