「沸騰水型原子炉に限らず、原子力発電の元になっているのは、高速で運動する中性子が発する熱だ。

水は発せられた熱を冷やす為に使うのではなく、中性子と衝突させ、その運動を弱める為に使用するのだ。

核融合が発する熱は数千度にも達する程の超高熱…
氷や水で、外から冷却するなど不可能なのだ!!

では私はこれで失礼する。君達の幸運をお祈りする…」


「何なんだよ。
それじゃあ、穂波の努力は無意味って事なのか?
もう、原子炉の暴走は止まらないって事じゃないか!!」

文句を言っている場合ではない。俺達も、早くこの場から離れなくては…


俺は天井の隅に穴を開け、遮蔽物を通り抜ける事が出来ない美空の為に、外への逃げ道を作った。


するとその時、床が激しく振動を始め周辺の気温が一気に上昇、まともに呼吸すら出来なくなった。

「穂波!!」
「いや!!
私は諦めない。絶対に諦めたくない――!!」


.