「穂波……」
「――来ないで。
私が諦めたら、数百万人…いえ、数千万人の人達に、高濃度の放射能が降り注ぐのよ。
諦めない。
私は絶対に諦めない」
話す言葉も曖昧で、元の穂波から考えれば別人だった。
穂波の気持ちは分かる。分かるが…
その時――
場内に設置されたスピーカーから、声が聞こえてきた。この声は、制御室にいたここの所長か?
「君達の姿は、制御室のモニターから見えている。
既に他の職員は、発電所から出来る限り遠くへ避難する様に指示をした。私もそろそろ脱出するから、君達も早く逃げなさい。
君達が何者かは知らないが、君達の認識は間違っている。その方法では、原子炉を冷却する事は出来ないのだ」
原子炉周辺の床も高熱により赤く変色し、本体も半分くらいまで真っ赤に光り、金色の火の粉まで撒き散らしていた。
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