敷地内には思いの外人の姿は無く、俺達は誰にも見付かる事もなくその建物の入口に着いた。
半信半疑だったが、その入口には制御室という看板が壁に埋め込まれていた。
ここまで危機管理がされていないと情けなくなるが、さすがに入口は電子ロックでカードがなければ入れなかった。
「どうするんだよ?
これじゃ中に入れないぞ」
「大地の力で、壁を引き剥がせば良いんじゃない?」
突然美空が無謀な事を言う…
入口でどうしたものか相談しているその時、建物の中から人の気配がした。
「誰か来るぞ」
入口から離れようとすると、穂波がニッコリと怪しく笑った。
「日本の緊急事態だし、あの人に貸してもらおうかな」
「はあ?」
振り返ると、既に穂波は1メートル程の長さの氷の棒を手に、入口の壁に張り付いていた。
そして、入口の扉が開いた瞬間、薄いグレーの作業服着た中年男性が前のめりに倒れた。
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