東海地方の天気は午後から雨だという予報になっていたが、到着した時には快晴だった。
晴れ渡る空と青い海、それに敷地内に植えられた芝生がまだ緑色を保っていて、本当に清々しい景色だった。
その幻想的な自然の中に、高い塀に囲まれた四角い建造物だけが現実的で違和感がある。
この広大な敷地を有する施設が、原子力発電所なのだろう。
その施設の門らしき場所に近付いて行くと、検問所に守衛の姿が数人見えた。
「どうする?
俺達みたいな怪しげな高校生を、すんなり通してくれるとはとても思えないぞ」
「そうね。
それに塀にも有刺鉄線はあるし、その他のセキュリティがあると思って間違いないわね」
穂波が溜め息混じりに、隣で塀を見上げた。
「大丈夫。塀の中に入るくらいは簡単だよ」
ゆっくりと最後尾を歩いていた美空が、余裕の笑みを浮かべた。
そうだった。美空がいれば、どこにでも行けるんだった。
いつでも中に入れると分かると、施設内に入ってどうやって行動するのか作戦を練る事にした。
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