良樹は熱々の野菜炒めを皿に盛り付けながら続けた。

「母さんと父さんが事故で死んだ日に姉ちゃん言ってたじゃん。これからは2人で生きていこうって」


「うん」


「『2人で』なんだよ?」

良樹が野菜炒めを盛り付ける手を止め、こちらを振り返った。


「俺はさ、まだ中2だし、バイトとかまだできないけど、やれることはやりたいんだよ」


「うん、ありがとう」


「ほら! 早く手洗ってきて! せっかく出来たてなんだから」


言われたとおり洗面所で手を洗いながら思った。

──本当に、いい弟をもったな。


昨年、両親を失って、そこからは弟と2人で一生懸命生きてきた。

他の人よりは大変な生活かもしれないけれど、私は幸せだ。