「お待たせしました! 『愛情注入!オムライス』です!」

オムライスをお客さんの前に置いたら、お決まりのフレーズを唱える。

「それでは、みなさんご一緒にお願いします!」

胸の前にハートを作って──、

「萌え萌えキュン!」


そう。私の秘密はメイド喫茶で働いているということだ。

うちの学校は、校則でバイトが禁止されているから絶対にバレてはいけない。

というか、禁止されていなかったとしてもバレたくはないけれど……。


「──くら。さくら!」


「あ! はい!」

突然飛んできたねねさんの声に驚いて、我に返った。


「なに、ボーっとしてんの。これ持ってって」

目の前に、食べるのを躊躇するくらいにカラフルなパフェが置かれる。


「はい!」