君が恋する私は、

「じゃあ、ここで」

少し寂しさを感じながらもそう言った。


「うん、じゃあね」

藤田くんが手を振って、背中を向ける。


「あのさ!」


藤田くんはびっくりしたように、こちらを振り返った。

「なに?」


「今日はありがとう!」


「全然いいんだって。それより、少しは休みなよ」


うん、と返事をして、今度こそ本当にバイバイをした。


その夜、部屋に入って1人になったところでため息をついた。

藤田くんが心配してくれて嬉しかったなんて思ってしまっている自分がいた。


ゆっくり休めと言われていたのに、いつもよりもずっと眠れなかった。


『もしよかったら、今度の夏祭りに一緒に行かない?』