「2名様ですかー?」

係の人にそう聞かれ、はい、と答えた。


「あの、もしかしてカップルさんですか?」


「……へっ!」

思いがけない一言に顔が熱くなっていくのを感じた。


「いえ、友達、ですかね」


「そ、それは失礼いたしました」

係の人が慌てたように頭を下げ、続けた。

「この観覧車、ちょうどてっぺんのところで手を繋ぐと、そのカップルには幸せが訪れるっていう言い伝えがあるんですよ。だからてっきり……」


「あー、なるほど。全然大丈夫ですよ」


藤田くんが笑った。


「あ、次の観覧車来ました」


係の人の言葉を合図に、観覧車に2人で乗り込む。


「それでは、行ってらっしゃいませー!」