君が恋する私は、

注文を聞いたウェイトレスがテーブルを立ち去って少ししてから、藤田くんが口を開いた。


「この間は大丈夫だった？」


この間……、と少し考えてから今の自分はさくらで、藤田くんとのこの間はあのストーカーの一件しかないことに気がついた。

「はい！　もうストーカーさんも厳重注意処分になったみたいですし……。」


「それにしてもやっぱり心配だよ。あの人は知り合いかなにかなの？」


メイドカフェでのバイトのことを話すべきかどうか少し悩んだが、ついさっきも思った今の自分はさくらだと言うことを思い出した。

「私、メイドカフェでバイトをしているんですけど……、」


「そうなんだ。なんでメイドカフェでバイトしようと思ったの？」


「それは……、」


そこから私は藤田くんに、両親が亡くなって今は弟と２人で暮らしていること、弟にやりたいことをしてほしいからお金が必要だということ、そして短時間で高収入であるメイドカフェの店員をしていたら客としてあのストーカーと出会ったこと、その全てを話した。


「大変だったんだね……。」


藤田くんがそう言ったときだった。