御曹司は優しい 音色に溶かされる

確かに二年間ゆりえを待つと決めた。

ゆりえがしたい事をさせたかったからだが、
何の連絡もしないのは間違えていたのかも
しれないと、健司の報告後自信が
なくなってもいる。

仕事を終えると千隼は、ゆりえの実家に
足を向けた。

思い悩むとゆりえの実家に行くことが
多かった。

あの家の方がゆりえを感じられるからだ。

家は千隼が手を入れて管理している。

半年ほど前に雨漏りがあって、業者に
チェックさせたら、かなり傷んでいた。

人が住まなくなった家は傷むのも早い。

今の状態を変えることなく修理して
同じような壁紙を貼って
もらっているのだ。

千隼は月に一度はゆりえの実家に足を
運んでいる。

ピアノの状態も気になっているので、
ゆりえが帰ってきたらすぐにでも
弾けるようにしておきたかった。

2年前ゆりえがボストンに発った後、
ゆりえの顧問弁護士に面会を申し出て
ゆりえの実家の手入れは千隼に任せて
もらうように交渉したのだ。

離婚は成立していないので千隼には
その権利があると主張したのだ。

妻の財産を守るのは夫として当然の事
だと言って西條の会社の顧問弁護士にも
交渉させた。

ゆりえの不利益になる話ではないので、
相手の弁護士は千隼の主張を
黙認してくれた。

ゆりえには知らせる必要もないと言っている

ゆりえがボストンでの音楽の勉強に専念
できるようにしてやりたいという気持ちを
ゆりえの顧問弁護士は尊重してくれた。