御曹司は優しい 音色に溶かされる

ゆりえはその夜ステージが終わった後
タクシーで自宅まで帰ってシャワーを浴び、
今リビングのソファに座っている。

手には千隼にもらった名刺をもって…

これはいったいどういう意味でくれたの
だろう?

男性と付き合った経験も誰かを好きに
なった事もないゆりえには、この名刺
の意味も分からない。

ただ単に名刺を渡したかった?

初心な女子大生を揶揄ってみただけ?

いくら考えてもゆりえには判断がつかない。

超絶なイケメンで背も高くてて脚が長い
つまりはスタイルも超絶な御曹司様

そんな彼がこんなピアノを弾くだけしか
できない大学生のお子様に関心を持つなんて
信じられない。

そうだ、ただゆりえのピアノが気に入って
くれただけなのだろう。

それは素直に嬉しかった

でも、毎回ステージが終わるたびに
ドリンクを頼んでもいいと言われたが、
はいそうですかと甘えるわけにも
いかないだろう。