御曹司は優しい 音色に溶かされる

翔太がなくなった日の九時頃に調査の
詳細を翔太のメールに送ったらしい。

それを読んで翔太はすぐに二人に会いに
向かったのだ。

だからあんなところで事故を起こしたのだ。

酒に酔っていたうえに生憎の雨で夜だった
すべての悪条件が揃ってしまったのだ。

なぜ、もう一日待てなかったのか。

でも、千隼でもどんな状況であっても
すぐに行動に移しただろうことは
理解できた。

翔太は自殺などではなかったのだ。

自分の愛した人と自分の子供との未来を
つかむために、はやる気持ちでアクセルを
踏んでいたのだ。

調査会社に残っていた料金を支払うと、
直ぐに千隼は動いた。

次の日小森恵子と息子の優太をホテルの
ラウンジに呼んだのだ。

少し強引な手を使ったが二人は来てくれた。

翔太にそっくりな優太を腕に抱いた時
愛しさが込み上げた。

”俺の甥っ子”は可愛かった。

しかし、そこにゆりえがいたとは
気づかなかった。

その足で二人を両親の住む西條の実家に
連れて行った。

二人とも優太を見て大泣きしていた。

恵子は翔太が亡くなった事は
知らなかったようだ。