御曹司は優しい 音色に溶かされる

直ぐに早苗にラインを送り金賞を取ったこと
ボストンにはなるべく早くいかせてほしいと
希望を出したことを伝えた。

そしてその夜早苗と二人で居酒屋で
祝杯を挙げた。

「ねえ、金賞取ってボストンに行く人の
祝勝会なのに私だけってありえないよ」

半分泣きながら早苗が絡んでくる。

「ざまあみろ、あのくそ御曹司め!
あんな奴こっちから捨ててやる!」

「早苗、悪酔いしすぎ。
早苗が酔っぱらうと私が酔えないじゃん」

「なんでよ。
二人でとことん酔っぱらおうよ!
最高の夜なんだから」

「二人とも酔っぱらったらどうやって家に
帰んのよ。もう帰ろう。
続きは家でやろうよ」

ゆりえは早苗を引っ張って二人でタクシーに
転がり込んで、ゆりえの実家に帰ってきた。

タクシーの運転手さんに

「ねえ、聞いてくださいよ。
私の親友がコンクールで金賞取ったんですよ
私の大好きな親友なんですよ。
すごいでしょう?
ほんとにゆりえはすごいんですよ。
それでね、ボストンに音楽の勉強に
行っちゃうんですよ」

そういっておいおい泣き出す早苗に
運転手は大笑いしていた。

「そりゃあよかったですね。
気を付けて行ってきてください」

気のいい運転手がそういってくれて、
途中から寝てしまった早苗を家の中まで
運ぶのを手伝ってくれた。