御曹司は優しい 音色に溶かされる

その日は早苗もここに泊まると言って
二人で久しぶりに一緒にお風呂に入って、
ゆりえの部屋のベットで二人して眠った。

次の日の朝早くゆりえは早苗を起こして
朝食を食べさせて仕事に送り出した。

どういう結果でも今日の夜は二人で食事
をすることを約束して早苗はしぶしぶ
仕事に出かけて行った。

決勝戦は午後二時からで、残ったのは
六人だった。

演奏曲のジャンルは問わないコンクールで
ゆりえは大学の卒コンでも弾いた
タイタニックのテーマにする予定だ。

人を愛し愛されそして裏切られて奈落の底に
落ちても愛することを止める事はできない
自分の心。

相手の愛は永遠に続かなかった切ない
気持ちも別れの悲しみも自分なりに
表現してみせる。

でも人生は続いていくのだという現実と、
美しい思い出があれば生きていけるという
事もゆりえはピアノで表現してみたいと
思っている。

タイタニックのヒロインの恋人との別れとは
違うけれど、愛する人を失う悲しみは同じだ

今ならこの曲を深く掘り下げて自分なりに
弾きこなせる自信がある。

卒コンの時はただ千隼への想いだけで
弾いていた。

今なら曲に込められたいろんな感情を鍵盤に
そして音色に込めて表現できると思っている。

マンションに帰ったゆりえは、千隼は昨日も
帰ってきていないことを知った。

それでよかったと思おう。